- / 07.07.17 記録
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― 現代詩フォーラム選集 ―
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神君徳川いえやす公
2007.08.11 Saturday | 00:03
いえやす公
幕府をひらいてください
いにしえということばがすっかりと
きえさったあとで誰もが
赤いカーテンや黒いカーテンのむこうで
からごころのうたをうたっています
しかたないのでぼくたちは
石竹でつくられたさくらの顔料の
女の肌をみつめながら
たたきつけられた
きえいるくろがねのひびきが
急転下して流麗になる計算された
さけびのなかで
恋のうたをうたっています
それでもぼくたちは
ほんとうに日輪の子だったのです
おや孝行と学問にはげむ
りっぱなさむらい大将です
東照大権現
いえやす公よ来てください
やさしさとは天下泰平です
厭離穢土です。
どうしようもなく田舎めいた
泥の中でふとった百姓どもが
卑猥なうたをうたいつづけるような
そしてむらはずれの処刑で笑い
子供がうまれても笑う
ひとがわらいつづける種類など
きっとどうでもよく
わらいつづけてみんないい
なるべく人も殺さず
なるべく戦争もせず
しかたがなくやるときは
正々堂々たたかって
大日本六十余州をなかよしで統一し
大世界二百二州に徳を充たす
それがほんとうの徳川です
ああいえやす公
突撃してください
作/構造 さん
幕府をひらいてください
いにしえということばがすっかりと
きえさったあとで誰もが
赤いカーテンや黒いカーテンのむこうで
からごころのうたをうたっています
しかたないのでぼくたちは
石竹でつくられたさくらの顔料の
女の肌をみつめながら
たたきつけられた
きえいるくろがねのひびきが
急転下して流麗になる計算された
さけびのなかで
恋のうたをうたっています
それでもぼくたちは
ほんとうに日輪の子だったのです
おや孝行と学問にはげむ
りっぱなさむらい大将です
東照大権現
いえやす公よ来てください
やさしさとは天下泰平です
厭離穢土です。
どうしようもなく田舎めいた
泥の中でふとった百姓どもが
卑猥なうたをうたいつづけるような
そしてむらはずれの処刑で笑い
子供がうまれても笑う
ひとがわらいつづける種類など
きっとどうでもよく
わらいつづけてみんないい
なるべく人も殺さず
なるべく戦争もせず
しかたがなくやるときは
正々堂々たたかって
大日本六十余州をなかよしで統一し
大世界二百二州に徳を充たす
それがほんとうの徳川です
ああいえやす公
突撃してください
作/構造 さん
流れる
2007.08.11 Saturday | 00:02
わたしたち
流れて
真夜中の水になる
あなたの喉をやさしく潤して
そっと
夢の中にしのび込む
水は落ちてゆく
あなたの肩から腕をなぞり
そして
温かな水の中へと
導かれて
あなたが見つめる暗い淵の
危うさの眠りに寄り添い
白濁した水にまみれて
わたしたち
新しい命になる
めくるめく
とおい声で愛しあい
歓びと哀しみの
はじめての言葉を知って
たどたどと語りつくせるならば
朝
明るさの方へ
目覚めて消えるまで
あなたの中を
流れて
作/yo-yo さん
流れて
真夜中の水になる
あなたの喉をやさしく潤して
そっと
夢の中にしのび込む
水は落ちてゆく
あなたの肩から腕をなぞり
そして
温かな水の中へと
導かれて
あなたが見つめる暗い淵の
危うさの眠りに寄り添い
白濁した水にまみれて
わたしたち
新しい命になる
めくるめく
とおい声で愛しあい
歓びと哀しみの
はじめての言葉を知って
たどたどと語りつくせるならば
朝
明るさの方へ
目覚めて消えるまで
あなたの中を
流れて
作/yo-yo さん
沢田さん
2007.08.11 Saturday | 00:01
近所の沢田さんは20年間
ずっと立ち話をしている
「立ち話もなんですから」と言っても
立ち話をやめてくれない
深夜 話し相手がいない時は
電柱やポストや犬と立ち話をしている
そんな変わった沢田さんではあるが
私は沢田さんを避けたりはしない
ひまを見つけては
沢田さんと立ち話を楽しんでいる
沢田さんと話していると救われるのだ
初恋の人や優しかった時の父や母
子供の頃の友達やお世話になった先生と
会っているような気分になれるのだ
沢田さんは ひとりなのに
沢田さんは今日も
台風が近づく中
立ち話をしている
こわれた
私の心の中の街角で
ひとり
作/風見和尾 さん
ずっと立ち話をしている
「立ち話もなんですから」と言っても
立ち話をやめてくれない
深夜 話し相手がいない時は
電柱やポストや犬と立ち話をしている
そんな変わった沢田さんではあるが
私は沢田さんを避けたりはしない
ひまを見つけては
沢田さんと立ち話を楽しんでいる
沢田さんと話していると救われるのだ
初恋の人や優しかった時の父や母
子供の頃の友達やお世話になった先生と
会っているような気分になれるのだ
沢田さんは ひとりなのに
沢田さんは今日も
台風が近づく中
立ち話をしている
こわれた
私の心の中の街角で
ひとり
作/風見和尾 さん