- / 07.07.17 記録
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― 現代詩フォーラム選集 ―
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流れ
2007.09.14 Friday | 22:15
今朝の珈琲未だ渦巻いていた
この病気は渋滞だわ
あのトンネルに吸い込まれたいがため
誰もがハンドルを握るのだわ
堅いシートはお尻の形にくぼみ
ひとつぶひとつぶ汗を吸収し
鋼の道路へタイヤの跡をスタンプしてく
乾いた軌跡を見たいから
窓から下方を凝視する癖
山は 濃い緑色に ところどころ露見した柔はだを雲が翳め おひさまを隠した
やがて四方を覆う密閉容器に流し込まれ
脳裏に焼きつくオレンジの蛍光灯が
わたしの生きる証なのだとしたら
迫ってくる陽の光それはただの通過点なのだとしたら
小さなものものをより一層強く掌握して
巡ってゆかねばならぬのか
薄緑の台地 牛馬は餌を食み 歯間に挟まる小花に舌打ちして 土を踏み鳴らす
自然がありあまる上を通過したからって
ありがとうとは思えない
なだらかにあがっては下がる赤いブリッジの流麗さが
突如現れたからといってただの感動に置き換えるわけに
行かない
旅の途中であなたがより一層強く舵を取るのは
無数の感激たちに押しつぶされぬ為
いつかは腐る 思い出たちよ
作/名ナ。 さん
この病気は渋滞だわ
あのトンネルに吸い込まれたいがため
誰もがハンドルを握るのだわ
堅いシートはお尻の形にくぼみ
ひとつぶひとつぶ汗を吸収し
鋼の道路へタイヤの跡をスタンプしてく
乾いた軌跡を見たいから
窓から下方を凝視する癖
山は 濃い緑色に ところどころ露見した柔はだを雲が翳め おひさまを隠した
やがて四方を覆う密閉容器に流し込まれ
脳裏に焼きつくオレンジの蛍光灯が
わたしの生きる証なのだとしたら
迫ってくる陽の光それはただの通過点なのだとしたら
小さなものものをより一層強く掌握して
巡ってゆかねばならぬのか
薄緑の台地 牛馬は餌を食み 歯間に挟まる小花に舌打ちして 土を踏み鳴らす
自然がありあまる上を通過したからって
ありがとうとは思えない
なだらかにあがっては下がる赤いブリッジの流麗さが
突如現れたからといってただの感動に置き換えるわけに
行かない
旅の途中であなたがより一層強く舵を取るのは
無数の感激たちに押しつぶされぬ為
いつかは腐る 思い出たちよ
作/名ナ。 さん
あおみどろ
2007.09.14 Friday | 22:14
あおみどろの きょだいな なめくぢが こうていの きぎをはい かぜをとめて ひとりきる みずみずしい こどもようの ちいさなスコップで すなあそびばへと まいそうする あたまをなで めだまはどこなの とたずねると とっきぶつから さいごの すいぶんを こぼし さしだした そこは ねむりを しきんきょりから とつぜん はっぽうする あおみどろに かがやく ふるい つきが なめくぢの なきがらを いおとしている ひかりのおをひく かげが こうぞうぶつを ぬぎすて めをふきかえす
作/地下鉄 さん
作/地下鉄 さん
生命を孕んだみず(いる/いない)
2007.09.14 Friday | 22:12
手首の傷に花びら
傷口から血液が滴り落ちて
新たな植物が生えてくる。
濡れて光る植物。
わたしはそれを摘んで
もしゃら、もしゃら、と食む。
身体のなかで花びらが咲き誇る。
tsurara、tsurara、tsurara、
五臓六腑に染み渡る花畑。
花の海が満ちる。
きれいな海、
さざめいて、さざめいて。
白いフレアスカートの裾がざわめいて
手首の花びらが散ってゆく。
ひとひらの雪のように。
地面に触れて 溶ける。
みずが流れる。
足首はみずに浸って
美しい朝を洗う。
朝は洗われて 生まれ変わる。
朝の皮を剥いて
つるり、とした朝を頬張る。
とれたての果物のような果汁が迸る。
風の落とし物が響いている。
「ここはどこ」
「ここはみずが生まれる場所」
ふたりで駆け抜けた緑に輝いていた草原、
が底に埋まっている。
ポケットには言葉のかけら
みずのなかに落ちてゆく、落ちてゆく。
わたしは濡れながら
それを拾い集める。
拾い集めると 手首を傷つけて、
また花が咲く。
リフレイン、リフレイン。
わたしは瞼を閉じる。
輪郭線が消えてゆく。
溶けてゆく指先。
垂れてゆく耳たぶ。
絡み合って、混じり合って、混沌としている。
そこにわたしはいるの?
そこにあなたはいるの?
見えない。
見えない。
(いる/いない/いる/いない/いる/いない)
流れてゆく。
みずのなかでとぅろとぅろに交わって、新しい子を産む。
新しい子も見えない。
産声だけが聴こえる。
身体を持っていない。
輪唱のように産声がこだましている。
何者でもないなにか、
がいる/いない/いる/いない/いる/いない
リフレイン、リフレイン。
生命を孕んだみず。
見えないわたしたちはまたとぅろとぅろに交わって、
みずを飲む。
わたしは瞼を開ける。
わたしは見えない。
あなたも見えない。
新しい子も見えない。
(いる/いない/いる/いない/いる/いない)
色んなものが混じり合ったみずが流れている。
作/藍露 さん
傷口から血液が滴り落ちて
新たな植物が生えてくる。
濡れて光る植物。
わたしはそれを摘んで
もしゃら、もしゃら、と食む。
身体のなかで花びらが咲き誇る。
tsurara、tsurara、tsurara、
五臓六腑に染み渡る花畑。
花の海が満ちる。
きれいな海、
さざめいて、さざめいて。
白いフレアスカートの裾がざわめいて
手首の花びらが散ってゆく。
ひとひらの雪のように。
地面に触れて 溶ける。
みずが流れる。
足首はみずに浸って
美しい朝を洗う。
朝は洗われて 生まれ変わる。
朝の皮を剥いて
つるり、とした朝を頬張る。
とれたての果物のような果汁が迸る。
風の落とし物が響いている。
「ここはどこ」
「ここはみずが生まれる場所」
ふたりで駆け抜けた緑に輝いていた草原、
が底に埋まっている。
ポケットには言葉のかけら
みずのなかに落ちてゆく、落ちてゆく。
わたしは濡れながら
それを拾い集める。
拾い集めると 手首を傷つけて、
また花が咲く。
リフレイン、リフレイン。
わたしは瞼を閉じる。
輪郭線が消えてゆく。
溶けてゆく指先。
垂れてゆく耳たぶ。
絡み合って、混じり合って、混沌としている。
そこにわたしはいるの?
そこにあなたはいるの?
見えない。
見えない。
(いる/いない/いる/いない/いる/いない)
流れてゆく。
みずのなかでとぅろとぅろに交わって、新しい子を産む。
新しい子も見えない。
産声だけが聴こえる。
身体を持っていない。
輪唱のように産声がこだましている。
何者でもないなにか、
がいる/いない/いる/いない/いる/いない
リフレイン、リフレイン。
生命を孕んだみず。
見えないわたしたちはまたとぅろとぅろに交わって、
みずを飲む。
わたしは瞼を開ける。
わたしは見えない。
あなたも見えない。
新しい子も見えない。
(いる/いない/いる/いない/いる/いない)
色んなものが混じり合ったみずが流れている。
作/藍露 さん